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素見歓迎  *ハ リ ミ セ*

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思ひ出 -「近所のコンビニで、彼女と偶然会った。」で始まり、「涙があふれた。」で終わる小説-

 近所のコンビニで、彼女と偶然会った。
佐堂エリカ。
お互い随分変わったはずだが、目が合った瞬間、彼女だと分かった。
彼女が僕を僕と分かったことも分かった。
スナックと雑誌の入ったカゴを放って、僕は逃げた。

 小学校時代、家が近かったので僕らはよく一緒に遊んでいた。
ある日、両親の留守に彼女の家で僕らは隠れんぼをした。
何度か互いに鬼になって遊んだ後、僕はすごいアイデアを思いついた。
今までの隠れんぼで、今日浴槽に水が入っているのは二人共知っている。
ここで、あえて水の入った浴槽に隠れれば、まず見つかることはあるまい。
僕は、自分の機転と、裸で隠れることへの興奮で上気しながら服を脱ぎ、脱衣所のタオルの中に隠した。
水は冷たかったが、顔まで沈み、上に蓋をかぶせた。

30分後、彼女は何処を探しても見つからない焦りと不安感で半泣きになっていた。
「馬園君!馬園!何処行ったの!もう、見つけたら殺すから!」
あまりに取り乱した彼女の声に戸惑って、僕が浴槽の蓋から顔を覗かせた時、彼女が浴室のドアを開けた。
彼女は僕に躍りかかった。
自分の服が濡れるのも構わず、僕にビンタし、首を絞め、身体を叩き、終いに「罰よ、アタシに酷い事をした罰よ」と呟きながら、僕の大事な部分 を抓りあげた。
僕は苦痛と屈辱に悲鳴を上げた。

それ以来、僕達の隠れんぼでは、僕が裸で隠れるのが決りになった。
僕を見つけると彼女は、いつも興奮に目を釣りあげて馬乗りになり、僕を叩き、引っかき、噛み付いた。

引越しが決った時、何となく彼女に言いそびれたのは、僕の中に彼女に対する恐怖が育っていたせいだろう。

その日、「今日はこれを使うわ」と言って、彼女はお父さんのコレクションから抜き取ったダガーナイフを見せた。
僕は、裸の獲物を探す彼女を一人置いてこっそり家を抜け出し、そのまま引っ越した。
彼女は僕の悪夢に登場するだけの、架空の怪物になった。
…と、思っていたのに。

 角を曲がると、少し気持ちが落ち着いた。
いくらなんでも、あの頃と違うんだ。
子供みたいに恐怖に駆られてどうする。

「馬園君、見ーつけた」
振り返ると、彼女が居た。
目が釣りあがっている。
手にはダガーナイフ。
涙があふれた。
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