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素見歓迎  *ハ リ ミ セ*

自作小説発表ブログ

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封霊探偵タカハシ ファイル02 霊体チャット

 チャットの付き合いは所詮仮想世界のもので、実際のところ話をしている相手が本人の主張する通りの年齢、体重、容姿…性別だと言う保障は何処にも無い。
…素人にとっては。

しかし、俺は内閣調査室から委託された特殊調査員、いわば情報のプロだ。
当然、チャットをする相手のことも徹底的に調査する。

 その女は、ある日俺がいつものように自部屋で哲学的かつ詩的な独り言をしていると、『lレミタソ』と言うハンネで「はじめまして~」と入ってきた。
俺が「よぅ!ネカマ乙」と挨拶をすると、「lレミタソ ネカマじゃないもん、ピチピチの17才女子高生だもん」と返してきた。
勿論俺はそれを鵜呑みにしたわけじゃない。
それ以前に、チャットの相手が17才女子高生だったとしても、俺は何ら特別な感情を抱く訳ではない。
俺は普通に「lレミタソちゃんて、誰似?どこ住み?どこ学?」と、相手に興味のある素振りを一種のサービスとして演じ、彼女も「おじさんガッつき過ぎ、ちょいキモイよ」などとふざけてそれに応じていた。
なかなか個人情報のヒントを洩らさぬ彼女に対し、俺は「あ~、こういう知的な会話はギャル脳には難解すぎるか。コムスメは本も読んだこと無いんだろう?」などと挑発し相手をムキにさせると言う、高度な会話継続術を使った。
2時間後、彼女が「あ~、もうどうでもイイわ。自分マジうざい」と捨て台詞を残して落ちたときには、彼女の家の周囲にファミマ一軒とローソンが二軒あること、最寄の駅は地下鉄であること、高校入学時の偏差値が53だったこと等が分かっていた。
その日のうちに、俺はGoogle Mapを駆使して、彼女の住所を十数か所の候補地にまで絞り込んだ。

 それから2ヶ月、俺は常にチャットに網を張って彼女を追跡し、時に彼女の友達に近づき、時に知り合いに成りすまし、あらゆる情報を集めた。
世を忍ぶ仮の仕事も辞めてまで俺は調査に没頭し、遂にある日、彼女の正体をつきとめた。

 それまでに俺は、女友達との会話から、彼女が実はOLである事と、大まかな会社の所在をつかんでいた。
その日も、彼女の勤務先があると思しき辺りをぶらぶらしていると、彼女がチャットサイトにログインして来た。
覗いてみると、最近特に仲のいい女友達に「今日はお昼を公園で食べてマース」と言っている。
俺は周辺の公園を探索した。
二つ目の公園で携帯をいじりながらサンドイッチを食べているOLを発見した。
見る限り、そのOLが携帯に何か打ち込むのと、チャットでlレミタソが発言をするタイミングは一致しているようだった。
突然、一匹のずうずうしい鳩がパンくずを食べようと、OLの膝に乗った。
彼女は驚いて声を上げた。
直後、lレミタソがチャットで『びっくりした~。今いきなりハトに襲われたよwwww』と発言した。
 「見つけた」
俺は確信した。


lレミタソ:あのねぇ、なんか、いろいろ説教垂れてくれてるけど、アンタにアタシの何が分かるって言うの?

琉浪暇人:色々分かってるよ。○○出版に勤めてることとか、ローソンの大盛エスカルゴ弁当が好きなこととか。

琉浪暇人:毎朝の通勤コースも、乗る電車のドアも知ってるよ?

琉浪暇人:あれ?引いてる?

琉浪暇人:お~い、落ちた?

lレミタソ:アンタマジ訴えるよ!いい加減にしてよね!!!!

lレミタソさんが退出されました。

琉浪暇人:あれ、落ちちゃった。

琉浪暇人:でも、どうせ見てるんでしょ?ログ

琉浪暇人:どんなにウザいのに絡まれても、落ちたら安全、って思ってるんでしょう?

琉浪暇人:しょせん携帯切ったら無関係、だもんねー

琉浪暇人:……

琉浪暇人:そうかな?

琉浪暇人:後ろ、見てごらん


 彼女は今もチャットに来ている。
誰も不思議には思わない。
携帯の機種も昔と同じだし、しゃべり方もいつもの彼女だ。
だが、俺だけが知ってることがある。
あの日、手を振った俺の姿を何と見間違えたのか、彼女は取り乱して走り出した。
前も見ずに車道へ。
一瞬、彼女の姿が消えた。
走ってきたトラックに跳ね飛ばされ、糸の切れた人形のように、はるか向こうに投げ出された。

 思いをこの世に残した魂は、様々な形で我々の前に姿を顕わす。
今夜もlレミタソはチャットルームにやって来る。
その真の姿を知るのはただ、封霊探偵という宿業を背負った俺一人なのだ。
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[ 2008/11/29 01:59 ] 封霊探偵タカハシ | TB(0) | CM(0)

 どんな犬が一番美味いか、だって?
世間じゃあ、やれ赤犬が美味いだの、チャウチャウが良いだのと言っておるがの。
ワシが人生で一番美味いと思ったのは、韓国でも中国でもない。ここ、日本で喰った雑種の犬じゃったわい。

 子供の頃、ワシの家では、ペロという名の雑種の犬を飼っておった。
なつっこい犬での、年中ワシと一緒にいた。まあ、ペットというより兄弟のような関係じゃったわい。
 ある日、そのペロを連れて一人で山菜取りに出かけたワシは、山で道に迷うてしまった。
日頃入り慣れた山で何とも不思議なことじゃが、その日は森の深い方深い方へと迷い込んでしまった。
ワシ等はその夜を森で過ごした。
大きな木の根っこに身を寄せて、互いを暖めあって眠ったよ。
次の日も、また次の日も捜索隊は来なかった。
4日目にワシは沢で足を折って歩けなくなった。

 それからまた何日か経った。
体の衰弱とともに足の痛みは薄れ、ワシは、とにかくたまらなく空腹だけを感じた。
河原の石の上に横たわったまま、『お腹空いたよ。お腹空いたよ』とうわ言のようにペロに話しかけ続けた。
すると、ペロがいきなり自分の後足に噛み付いて、肉を一塊喰いちぎったのじゃ。
ペロは、血まみれ、毛まみれのその塊をワシの前にポトリ、と置いた。
 喰え、と言うんじゃ。

 喰えんかった。
ワシは、血まみれで震えているペロの体を抱いて、いつまでもいつまでも泣き続けた。
朝になると、ペロは息絶えておった。

で?その後どうなったかじゃと?
ワシは助かったよ、5日後に救助されてな。
その時、ワシのそばには、ペロの毛皮と骨だけが転がっていた。

 美味かったんじゃ。
生で、何の味付けも無く、最後には腐りかけておったが、美味かった。
犬種とか、肉質とか、そう言う事じゃないんじゃ。
愛情の絆の味じゃったんじゃ。
ワシはずっと、泣きながら喰っとったよ。

 ん?なぜそんな話をするかだって?
そうじゃなあ、ワシはこの頃、もう一度だけ、あの天にも昇るような美味い肉を味わってみたくなってきたんじゃよ。
 犬のお前にこんな話をしても、分かるわけもないがなぁ…

第611回「好きな数字は何ですか?」

こんにちは!トラックバック担当の水谷です! 今日のテーマは「好きな数字は何ですか?」です。 みなさんは、好きな数字ってありますか?水谷の好きな数字は、ズバリ『7』です!コインロッカーなどに物を預ける時などは必ずと言っていいほど『7』のつく数字のものを選択します。また『7』以外には『2』や『5』を組み合わせた数字も好きですね∃..
FC2 トラックバックテーマ:「好きな数字は何ですか?」



 「好きな数字は何ですか?」
突然問いかけられて戸惑った。
数字に『好き・嫌い』という判断をしたことが無かったからだ。

いや、忘れ去ってしまうほどの昔、まだ数字に馴染みの無かったころには、あるいは何か好きな数字があったかもしれない。

好きな『数』ならあるかもしれない。
例えば、π。

円周率、図形的な数字だと思っていたが、ゼータ関数の解に登場する。
数論的にもπは重要な意味のある数なのだ。
そう考えると、πとは空間の構造の秘密の切れ端が、その辺の電柱の直径と周の比率にちよっぴり顔を覗かせているといった数なのかもしれない。

自然界には、一見無関係に見える様々な現象を表現した数式に、繰り返し現れるいくつかの定数がある。
そうした数の一つ一つが、今は『便利な数』『式を解く為に導入された数』に過ぎないけれども、いつか大きな理論の元に結び付けられ、宇宙の記述を構成する重要なピースとなるのかもしれない。

 そんなことを想いつつ、自分の一番好きな数は何か考える。
π?自然対数e?光速c?プランク定数h?
反則だけど、連続体濃度א?

やっぱり、1かな。

全ての始まり。
存在を数として捉えることの第一歩。
1は、0から生まれた、0の次の数ではない。
数の無かった世界に忽然と現れた数学の尖兵なのだ。
魚を1とする。
アヒルを1とする。
コップを満たした水を1とする。
全て同じ1。
物質性を全て捨象した、究極の『存在の記述』は、全て同じ"1"なのだ。
そこから、宇宙の科学的認識の全てが始まったといってもよい。

私の好きな数は、そして数字は、きっと「1」だ。
[ 2008/11/07 13:01 ] etc | TB(0) | CM(0)

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